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第28話 「宣戦布告」

Author: 詩乃宮
last update publish date: 2026-07-25 11:00:15

 翌日。その日はいつも通りの時間ではなく、ランチ営業時間の始まる前、9時半過ぎぐらいに皇は嬉嬉軒に来ていた。

 多分、今の時間は仕込みの時間だろう。邪魔になるかもしれない。だけれど、2人にとってとても大切なことだろうから皇はこの時間を選んだ。

 ———ピンポーン。

 嬉嬉軒の裏手、藤桜家と書かれた標識が貼ってある下、インターホンを押す。すると、すぐにおばちゃんは出てきて。

「はーいって、あれ、にーちゃんじゃないかい!」

 そうおばさんは表情を明るくした。皇は意を決して、声の音量を下げておばちゃんに伝える。

「姫沙羅さんに会いました」

 おばさんが口を押えた。信じられないものを見る目で皇を見る。信じられないかもしれない、でも、これだけは本当だった。

「でも、逃げられちゃって……なので、現実で昨日伝えられなかったことを伝えようと思って」

 皇はログアウトしてからもデメテールと連携させたリムレットで

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     翌日。その日はいつも通りの時間ではなく、ランチ営業時間の始まる前、9時半過ぎぐらいに皇は嬉嬉軒に来ていた。 多分、今の時間は仕込みの時間だろう。邪魔になるかもしれない。だけれど、2人にとってとても大切なことだろうから皇はこの時間を選んだ。 ———ピンポーン。 嬉嬉軒の裏手、藤桜家と書かれた標識が貼ってある下、インターホンを押す。すると、すぐにおばちゃんは出てきて。「はーいって、あれ、にーちゃんじゃないかい!」 そうおばさんは表情を明るくした。皇は意を決して、声の音量を下げておばちゃんに伝える。「姫沙羅さんに会いました」 おばさんが口を押えた。信じられないものを見る目で皇を見る。信じられないかもしれない、でも、これだけは本当だった。「でも、逃げられちゃって……なので、現実で昨日伝えられなかったことを伝えようと思って」 皇はログアウトしてからもデメテールと連携させたリムレットで最近遊んだメンバーのログイン状況は把握していた。だけど、あのあと姫沙羅がログインした形跡は0だった。つまり、姫沙羅は今現実に居る。「ドア越しで大丈夫です。娘さんと会話をさせて貰えませんか?」 それは切実な願い。もう少しで姫沙羅の核心に迫れそうだった。あともう少し、手を伸ばせば。でも、それにはおばちゃんの助けが必須だった。だから、皇は願う。 すると、おばちゃんは玄関の中を、いや、家を見上げて不安そうな顔をする。そして、おばさんが一瞬俯いて顔をあげた。「後ろで、聞いていてもいいかしら?」「問題ないです。いくら常連と言えど2人にするのは不安ですよね」 そうおばちゃんに寄り添いの姿勢を見せれば、おばちゃんも柔らかな笑みを浮かべてくれた。「上がって頂戴」 おばちゃんに案内される。1階が嬉嬉軒なせいか、玄関に入ってすぐは階段で。階段を上がって、もう1回階段を上がる。3階の部屋の突き当り、「姫の部屋」と書かれたプレートがその部屋にはかかっていた。「此処が&h

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